木曜日, 12月 1, 2022
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FX究極のダウ理論ガイド:混沌市場の中で秩序を見出だす

ダウ理論とは、チャールズ・H・ダウが提唱した金融市場の理論で、現代のテクニカル分析の先駆けとなった6つの基本的な「原則」に基づくものです。この記事では、ダウ理論のFXへのアプローチと、現在の最強のダウ理論指標を紹介しています。

ダウ理論とは

ダウ理論は約100年前から存在していますが、今日の不安定でテクニカル主導の市場においても、ダウ理論の基本的な構造は依然として有効であると言えます。チャールズ・ダウによって提唱され、ウィリアム・ハミルトンによって改良され、ロバート・レアによって完成されたダウ理論は、テクニカル分析と値動きだけでなく、哲学的にも裏付けられています。ダウとハミルトンが打ち出したアイデアやコメントの多くは、ウォール街の公理となっています。今の市場には適さない思う人もいるかもしれませんが、レアの著書『ダウ理論』を読めば、ほぼ100年前と今日の株式市場の値動きが同じであることを証明してくれるでしょう。

ダウ理論は、市場のトレンドとは一般的にどの様なものなのかを高いレベルで説明しています。市場のトレンドを判別し、その後の取引に使用できるシグナルを提供してくれます。この理論では、ダウ・ジョーンズ輸送株平均とダウ・ジョーンズ工業株価平均のトレンドを確認するために出来高を重要視しています。一般的に両方のダウ平均が同じ方向にトレンドが進行している場合、世界の市場全体も追随してその方向にトレンドが発生していると言えます。投資家は、これらのシグナルを利用して市場の主なトレンドを確認し、そのトレンドに合わせて取引を行っています。

チャールズ・ダウとは

チャールズ・ダウは、19世紀後半に市場のプライスアクションの分析からダウ理論を発展させました。1902年に亡くなるまで、ダウはウォール・ストリート・ジャーナルの編集者であると同時に創業者でもありました。彼はダウ理論についての本を書くことはありませんでしたが、投資や輸送、工業平均の役割についての見解を示した社説をいくつか執筆しています。

一般的にはチャールズ・ダウがダウ理論を提唱したと紹介されていますが、今日のものに理論を洗練したのはS.A.ネルソンとウィリアム・ハミルトンでした。ネルソンは、株式投資のABCを説き、実際に”ダウ理論”という用語を使用する最初の人でした。ハミルトンは、1902年から1929年までウォール・ストリート・ジャーナルに掲載した一連の記事を通じて、理論をさらに洗練させました。また、ハミルトンは1922年に『株式市場のバロメーター』を書き、この理論を詳細に説明しました。

1932 年、ロバート・レアは、著書『ダウ理論』の中で、ダウとハミルトンの分析にさらに磨きをかけました。レアは、ダウ(1900 年~1902 年)とハミルトン(1902 年~1929 年)が市場についての考えを述べた252の社説を読み、研究し、解読しました。彼の著書の中で、レアはハミルトンの『株式市場バロメーター』にも言及しています。

ダウ理論の解説

ダウ理論は、相場の最高値と最安値を分析して、方向性を正確に予測するものです。

ダウ理論によると、将来の上昇・下降の動きは、過去の値動きとの位置関係で決定付けられます。チャートを読めば、通貨(資産)に何が起こっているかをよく理解することができるのです。この分析により、経験の浅い人でも金融商品の流れを把握することができます。

さらに、チャールズ・ダウは、チャート上の価格と値動きがすべてであると言う共通認識をトレーダーやテクニカルアナリストに与えました。

ダウ理論

今日使用されているほとんどの取引戦略は、「トレンド」という1つの重要な概念に基づいています。これは、19世紀末にチャールズ・H・ダウが著書を発表した当時は斬新なアイデアでした。しかし、それから1世紀以上経った今、彼の理論を説明するためにアメリカのジャーナリストによって構成されたダウ平均株価指数は、おそらく今では地球上で最もフォローされている指数となっています。

ここで、チャールズ・H・ダウの考えとその意味合いをさらに理解するために、ダウ理論を支える6つの基本「原則」をご紹介します。

#1: マーケットは全ての情報を織り込んでいる

第一の前提は、マーケット価格がすべての情報を反映しているということです。そこにあるすべての情報は、すでに価格を通じて市場に反映されているのです。価格は、すべての参加者の希望、恐れ、期待の結果を表しています。金利の動き、収益予想、大統領選挙、その他すべてのものは、すでに市場価格に反映されています。予期せぬことが起こるかもしれませんが、それらは通常、短期的なトレンドにしか影響しません。つまり、主要なトレンドは影響を受けないのです。

ハミルトンは、市場が良いニュースに対して否定的に反応することもあると指摘しています。その理由は簡単で、ニュースが出る頃には、既に価格に反映されているのです。これは、ウォール街の古い公理である「噂で買って、事実で売る」という言葉で端的に説明されています。噂され始めると、買い手が集まり、ニュースが流れる頃には、完全に価格に反映されているため、ニュースが出てから買っても遅いのです。

#2:3つのマーケットトレンドがある

ダウ理論では、株式をはじめ、あらゆる市場(例:コモディティ、FX)には3つのトレンドがあることを提唱しています:数日から数週間の短期トレンド、数週間から数ヶ月の中期トレンド、数ヶ月から数年の長期トレンドです。3つのトレンドはすべて常に変動しており、必ずしも同じ方向に動いているとは限りません。

  • 長期トレンドは、最も重要なトレンドであり、判断、分類、理解するのが最も簡単と言えます。長期トレンドが一番重要であり、中期トレンドと短期トレンドを有効活用するためにはまずは長期トレンドを認識することが必要です。
  • 中期トレンドは、投資家にとっては2番目に重要であると言えます(スイング取引についての詳細はこちら)。中期トレンドは長期トレンドと一緒に動くこともあれば、逆に動くこともあります。中期トレンドが長期トレンドから大きく離れた場合、それは解離、調整として認識されます。長期トレンドの変化と混同しないように、中期トレンドの特徴を注意深く評価しなければなりません。
  • 短期トレンドは、最も予測できる可能性が低いと言えますが、短期トレーダー(デイトレードスキャルピングの詳細についてはこちらをご覧ください)にとっては重要なトレンドです。短期トレンドを理解する理由は、短期的な動きの中で利益を最大化し、損失を最小化するためです。中期トレンドに反して短期トレンドが変動しても、7%の割合で2週間未満でその短期トレンドは終了します。中期トレンドや長期トレンドへの影響はほとんどありません。

3つのトレンドで値動きを分類することは、大変意義のあることです。3つのトレンドを意識している投資家は、長期的なトレンドに焦点を当ててつつ、トレードによっては、長期トレンドに反した中期的な動きや短期的な動きも利用して、利益を最大化することができます。

第一に、長期トレンドは上昇で中期トレンドで下落している場合は、中期トレンドで一時的に売り利益を得ることができます。

第二に、プットを買ったり、コールを売ったりして同じこともできます。

第三に、それが長期的な動きではなく、中期的な動きであることがわかっていれば、自信を持ってトレンドに乗るとができます。

そして最後に、短期的な動きを利用し、買いと売りのタイミングを計れば利益を最大化することができます。自分のポジションと逆のポジションを保有することに興味がない場合を除けば、短期トレンドに対しても同じような考え方が適用できます。また、短期トレンドを利用して、中期トレンドの変化の兆候を探すこともできます。マインドセット(トレーディング心理学の詳細を学ぶ)は投資家とは異なりますが、変化に気づくために使用される基本的な原則は非常によく似ています。

慎重な投資家は主に中期トレンドに焦点を当てます。しかし、中期トレンドを正確に理解するためには、長期トレンド、つまりプライマリートレンドとの関係を理解しなければなりません。

#3: 明確な反転が確認されるまで、トレンドは継続する

これは、ダウ理論の中でも重要な要素の一つです。長期トレンドの反転は、中期トレンドの出現と混同されてしまう場合があります。ダウ理論では、トレンド転換の最後まで両者を区別することは困難であるため、注意が必要であると提唱しています。

値動きには3つの基本的な変化があり、それが連動して発生した場合、どのような市場でもトレンド転換を定義します。変化の種類は以下の通りです。

  1. トレンドラインのブレイク

価格が、チャートに描かれたトレンドラインをブレイクすることを指します。

  1. 上昇トレンドでの高値切り下げ、下降トレンドでの安値切り上げ

例えば、上昇トレンドでは、通常小幅な売りが出ても価格は再び上昇しますが、前の高値を更新できなかったり、更新しても騙しになったりすることもあります。逆のことが下降トレンドでは起こります。これは、高値または安値の「テスト」と表現されます。これは通常、トレンドが変化するときに発生します。これはよく重要なニュースに引き起こされ、不規則に動くことになります。

  1. 上昇トレンドでは前回安値を下抜け、下降トレンドでは前回高値を上抜け

これら3つの事象がすべて発生した時点で、トレンド転換を意味するダウ理論に相当するものが存在します。最初の2つの条件のいずれかだけでも、トレンド転換の可能性が高い証拠となり得ます。3つのうち2つが発生した場合はトレンドが転換する確率が高く、3つ発生した場合はトレンド転換と定義されます。

チャートでトレンド転換を見極めるために、行わなければならないことは、これらの原則をグラフィカルな用語に変換することです。

>> トレンドを極める方法を学ぶ

#4:長期トレンドの3つのフェーズ

長期トレンドの第一段階では、情報を得た投資家は、蓄積フェーズ(上昇相場の前)で参入し、最大の値動きが発生する第二の大衆参加フェーズを経て、過剰フェーズ(弱気相場に転換する前)で売り抜けて利益を得ます。

プライマリーベアマーケットとは、長い下降相場のことです。様々な経済的な要因によって引き起こされ、一般的に株価が徹底的に叩き売られるまで終了しません。

ベア相場には、大きく分けて3つのフェーズがあります。

  • 第一に、加熱感が出たことによる売り
  • 第二に、利益確定に伴う売り
  • 第三に、損切りによるパニック売り

プライマリーブルマーケットとは、平均して2年以上の長い期間に渡って上昇する動きのことです。株価は、この期間に投機的、経済的活動の改善と増加の両方によって上昇します。

ブル相場にも、大きく分けて3つのフェーズがあります。

  • 第一に、経済回復に対する希望の買い
  • 第二に、企業収益の改善に対する買い
  • 第三に、インフレ(株価の上昇)が顕在化し、投機的なパニック買い

#5:トレンドは出来高でも確認されなければならない

ダウは、出来高を価格シグナルを確認するための重要な要素として認識していました。つまり、出来高はトレンドの方向に向かって拡大または増加しなければなりません。大幅な上昇トレンドの場合、価格が上昇すると出来高は増加し、価格が下落すると減少します。下降トレンドでは、価格が下落すると出来高が増加し、価格が上昇すると数量が減少します。ダウは、出来高を二次的な指標と考えていたのです。今日の洗練された出来高の指標は、出来高が増加しているか下落しているかを判断するのに非常に役立ちます。熟練したトレーダーは、この情報を実際のプライスアクションと比較して、相互関係を確認しています。

>> テクニカル分析における出来高についての詳細はこちらをご覧ください。

#6:価格は相互に確認される必要がある

この最後の原則である2つの異なる市場で相反する2つのトレンドは共存することはできないということは、チャールズ・H・ダウにとって最も重要なことであったことは間違いありません。言い換えれば、ある株式市場のトレンドは、常に他の市場でも同様のトレンドが確認されなければなりません。またその逆もまた然りと言えます。

チャールズ・H・ダウがダウ・ジョーンズ工業株平均を考案することだけに留まらなかったのは、この最終的な信条があったからです。こうして別の市場であるダウ・ジョーンズ輸送株平均が構成されたのです。

ダウ理論のFXに対するアプローチ

ダウ理論のトレンドに対する考え方として、他の物理的なものと同じように、トレンドが方向転換する様な強い力が働くまで動き続けると言うものがあります。つまり明確な反転シグナルを探す必要があるのです。

フェイラースイング

フェイラースイング

CのピークがAを越えられず、Bの安値がブレイクされたことにより、Sの「売り」シグナルが発生しました。

ノンフェイラースイング

ノンフェイラースイング

ダウ理論FXトレーダーの中には、S1で「売り」のシグナルが発生したと捉える人もいれば、Eの戻りが来るまで待つと言う人もいます。

ダウ理論は終値のみを考慮します。平均値が重要な意味を持つためには、過去の高値を切り上げているか、過去の安値を切り下げていなければなりません。

フェイラースイングボトム

フェイラースイングボトム

買い」シグナルは、ポイントBを超えたときに発生します(B1)。

買い」シグナルは

ノンフェイラースイングボトム

ノンフェイラースイングボトム

買い」シグナルはポイントB1またはB2で発生します。

最強のダウ理論インジケーター

ジグザグ・インジケーターは、それ自体がダウ理論のインジケーターであるわけではありません。しかし、価格変動をパーセンテージの変化で定義しています。このインジケーターを使用すれば、重要な価格変動を見極めることができるのです。

ダウ理論

ジグザグ・インジケーターは、事前に選択した変数よりも高いパーセンテージで価格が反転するたびに、チャート上にポイントをプロットします。そして、それらのポイントを結ぶ直線が描かれます。

価格のトレンドを見極めるために使われる最強のダウ理論インジケーターとされています。ランダムな価格変動を排除し、トレンドの変化を示してくれるのです。ジグザグ線は、高値と安値の間に、指定されたパーセンテージ(多くの場合5%)を超える値動きがあった場合にのみ表示されます。小さな値動きをフィルタリングすることで、このインジケーターはすべての時間軸でトレンドを見つけやすくしてくれます。

ダウ理論と一緒に、全体サイクルの中での各波動の位置関係を判断するためのエリオット波動理論がよく使われています。

ダウ理論の本

The Dow Theory: An Explanation of Its Development and an Attempt to Define Its Usefulness as an Aid in Speculation(英語版)

ロバート・レア著

1932 年に Barron’s 社から出版された本書は、ダウ理論の展開を説明し、その有用性を定義しようとしたものです。レア氏は、個人投資家にとって有用なダウ理論を提唱するために、チャールズ・H・ダウとウィリアム・ピーター・ハミルトンの252の社説を慎重に研究しました。

Dow Theory Unplugged: Charles Dow’s Original Editorials & Their Relevance Today(英語版)

チャールズ・ダウ著

Dow Theory for the 21st Century: Technical Indicators for Improving Your Investment Results(英語版)

ジャック・シャネップ著

ダウ理論家のジャック・シャネップは、新世代の投資家に株式市場で成功するためダウ理論を紹介しています。この書には、投資家が株式市場について知っておくべきこと、そして経済的に成功するための方法がすべて述べられています。

Granville’s New Key to Stock Market Profits

ジョセフ・E・グランビル著

この書では、ウォール街で最もよく知られている市場アナリストの一人が、取引サイクルを把握するための新しいテクニカルツール紹介しています。

オンバランスボリューム理論と呼ばれるこのツールは、有名なダウ理論を元に株式のボリューム(出来高)で相場を分析します。

オンバランスボリューム(OBV)は、トレーダーが自分の感情に流されずに売買シグナルに従うことができるように、各売買シグナルを示してくれます。

グランビルの法則は科学的に立証されたものであり,精度が高く,多くの自動売買機能に備えられています。この本は、ボリュームの動きによってシグナルを発生させ利益を得る方法を紹介しています。

まとめ

ダウ理論だけでは、FX市場や市場の値動きを予測するための包括的な方法にはなりませんが、投機家が無視してはならない貴重な知識となります。ダウ理論の原則の多くは、ウォール街の言葉や市場参加者に暗黙のうちに組み込まれています。例えば、ほとんどの市場の専門家は、調整とは何かについて一般的な認識を持っていますが、ダウ理論のように客観的な用語で定義した人はいません。

ダウ理論の基本的な考え方を復習することで、市場の現在の値動きと過去の値動きの両方を研究することで、将来の値動きを予測する方法を学びました。これで、トレンドとは何かについての一般的な考え方がわかったかと思います。市場には3つのトレンドがあり、それぞれ重要であることがわかりました。

これらの考えを念頭に置いて、価格の動向をより深く理解する必要があります。結局のところ、どのようなトレンドであるか、いつそのトレンドが転換するかを認識できればトレードで勝てるようになると言えます。

過去100年の間に多くの変化がありましたが、ダウ理論と彼の信条は今日でも広く利用され、多くのトレーダーにとって有効な取引戦略であると考えられています。実際に現在、私たちがテクニカル分析について知っていることの多くは、ダウ理論に根ざしたものになっています。そのため、テクニカル分析を使用するすべてのトレーダーは、ダウ理論の基本原則に精通している必要があるのです。

Cristian Cochintuhttps://japanesefx.com/about/
Cristian Cochintu is a highly experienced trader, author, and analyst. Cristian’s extensive experience in developing trading strategies using cross markets analysis and his edge in predicting economic surprises is recognized all over the world. His unique insights about FX are translated today into multiple languages. The Japanese version of his blog - japanesefx.com - is devoted to helping FX traders trade intelligently, profitably, and for a long time. Cristian has studied the markets from many angles and has earned first and advanced degrees in economics, finance, and business. Throughout his career, Cristian has published market analysis and educational articles that have helped thousands of traders master the currency markets. Cristian is also one of the authors of investing.com, fxstreet.com, and other financial publications.

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