25日移動平均線(SMA)は、歴史的分析から有効なトレンド指標であることがわかっているため、広くトレーダーやマーケットアナリストに利用されています。移動平均線は、トレンドが上昇しているのか下降しているのかをトレーダーに教えてくれるだけでなく、潜在的なサポートエリアやレジスタンスエリアも特定してくれます。
25日移動平均線とは
25日移動平均線は、短期的なトレンドを分析・識別するためのテクニカル指標です。基本的には、過去25日間の終値の平均値を表す線で、あらゆる市場に適用することができます。
25日移動平均線は、優れたトレンドフォローの指標として、FXトレーダーに広く使用されています。価格が一貫して25日移動平均線の上で取引されている場合、これは上昇トレンドと見なすことができます。常に25日移動平均線の下で取引されている市場は、下降トレンドであると考えられます。
25日移動平均線をトレードで利用するには?
前述のように、25日移動平均線が広く使われているのは、それがうまく機能しているからです。25日移動平均線は、長すぎず、短すぎないトレンドの方向性を提供してくれます。そのため、25日移動平均線は、デイトレードや短期のスイングトレードを行う際に好んで使用されます。
ここからは、25日移動平均線が提供する3つの機能を見てみましょう。
- 相場の状況把握
- エントリー戦略
- エグジット戦略
その1:相場の状況把握
市場の状況は、価格がどのように動いているかによって異なります。プライスアクションが一貫して一方向に押しているのか?それとも、レンジ相場の中で跳ねているのか?
市況を把握することは、デイトレーダーにとって重要な要素であり、うまく立ち回るには、慎重さと経験が必要です。
ここでは、25日移動平均線がどのように役立つのかを見てみましょう。
ここでは、移動平均線を使いプライスアクションを明確にするための確認事項を見ていきましょう。
- 現在、価格は移動平均線より上か下か?
- 値動きはどのような流れなのか?
- 価格が移動平均線と重なっていないか?
- 移動平均線の傾きはどちらか?
- 傾きが頻繁に変わっていないか?
これらの質問で、移動平均線を基準にしたプライスアクションの分析をし、移動平均線の効果を高めてくれます。
以下の例に移る前に、上記の質問に対する答えを単独で解釈してはいけないことを覚えておいてください。これらを統合して、全体的な市場分析を行う必要があるのです。
日中のローソク足チャートを見て、その方法を確認してみましょう。

ソース:MT4
上記の確認事項に対して
- 価格は現在、25日移動平均線を下回っている。しかし、現在のローソク足は移動平均線と重なっている。
- 包み足の形で弱気になっている。
- 13本のローソク足が25日移動平均線と重なり、3本のローソク足が25日移動平均線に接近している。
- 傾きはわずかに下降になっている。
- 25本のローソク足の中で、傾きは5回転換している。
ほとんどのローソク足が移動平均線と重なっており、横ばいの値動きが見られました。
その上で、これらの内容を考えてみてください。
- 4本目から9本目は移動平均線と重なったが、毎回MAの下で確定した。
- 移動平均線の下へのクロスは、上へのクロスよりも強い。
どちらかトレンドを選ばなければならないとしたら、下降でしょう。したがって、全体的には、やや弱気のバイアスがかかったレンジ相場であると判断できます。
下図のように、市場は最終的に弱気のトレンドにブレイクしました。

その2:エントリー戦略
マーケットの状況を分析した後、次のステップは、トレードの条件を探すことです。トレードの条件が合致すれば、正確なエントリータイミングを決定できます。
それでは、25日移動平均線がどのようにトレードのエントリーポイントを見つけるのに役立つのか見てみましょう。
まず、移動平均線は各トレードの最適なエントリーポイントを提供するものではないことを覚えておいて下さい。どんなテクニカル指標でもそれは不可能ですが、フレームワークを利用することで、判断が簡単になります。
マーケットの方向性を確定してしまえば、技術的にはいつでも市場に参入することができます。しかし、自信の度合いに応じて、異なるエントリー戦略を選択することになります。
移動平均線を使えば、プルバック(相場の戻し)を使ったトレードのエントリーポイントを3段階で見極めることができます。
- プルバックが25日移動平均線に到達する前
- プルバックが25日移動平均線にぶつかった時点
- プルバックし、25日移動平均線を再度クロスした後

上のチャートの4つのエントリーポイントは順を追っていくごとに保守的になります。
- 強いトレンドでは、市場が25日移動平均線を試すことは期待できません。したがって、移動平均線に対しての一定のプルバックが妥当なエントリーポイントとなります。
- 移動平均線付近でプルバックすると予想する場合、エントリーする方法は2つあります。25日移動平均線付近で指値注文を出す方法。
- もう一つはポジションを取る前にさらに確認を設ける方法。25日移動平均線周辺のローソク足チャートパターンを待ってから、逆指値でエントリーします。
- トレンドが成熟していて、より深いプルバックが発生しやすい場合は、市場が移動平均線を突破してからエントリーすることを検討します。このケースでは、市場が25日移動平均線を下回った後の最初の反転を待ちます。プルバックを利用したエントリーの中で、これが最も保守的なものです。
もちろん、これらがすべてを網羅しているわけではありません。移動平均線を利用して、どのようにトレードができるかを示すために作成しました。
自分の市場への理解と移動平均線を使った経験に基づいて、フレームワークを作ることが大切です。
その3:エグジット戦略
定義上、移動平均線は価格に追従します。
それゆえ、理論的には、移動平均線に基づいたトレーリングストップは、次のようなメリットがあります。
- 利益を固定できる
- 一時的な上下の動きに対応できる
移動平均線を使ったトレーリングストップの利用方法を見てみましょう。
方法1:移動平均線レベルでのトレーリングストップ
従来の方法では、移動平均線に合わせて逆指値を調整し、移動平均線のレベルが損切りレベルになりました。
以下の例は、この戦術を詳しく示しています。

- 25日移動平均線に合わせて、損切り注文を調整します。これは手動で行うこともできますし、MT4やMT5で自動的にトレールするように設定することもできます。
- 強力なトレンドにおいて、25日移動平均線は利益を確定する方法として見事に機能します。
- ご覧のように、この例では、十分な利益を得られることができます。
- 上の例では理想的な戦術に見えましたが、この戦術が有効なのは、小幅で浅いプルバックを伴うトレンドに限られます。深い戻しが連続するトレンドでは、パフォーマンスが低下します。
より深いプルバックがありそうだと判断した場合は、以下のような別のアプローチを検討してみてください。
方法2:移動平均線を利用したトレーリングストップ
ここでは、簡単に説明するために、ショートトレードを例にします。(この考え方は、ロングトレードにも当てはまります。)
ショートトレードでのトレーリングストップロスの使用例:
- プルバックで価格が移動平均線を上回ったら、ストップロスを調整する準備をする。
- 相場が移動平均線を下回った時には、ストップロスをその戻しの高値に移行させる。
ここでは以下のチャートを見ていきましょう。

すでにショートポジションを持っていると仮定します。
- 相場が25日移動平均線を超えたら、ストップロスの調整を検討します。ただし、逆指値の調整はまだしないでください。
- 相場が25日移動平均線を下にクロスして離れたら、1の価格にストップロスを移動させます。これは、その時点でのプルバックが到達した最高レベルでもあります。
- これもストップロスの可能性があるレベルです。
- 25日移動平均線からトレンド方向に明確にクロスしたことを確認してから、ストップロスを移動させます。
ここでは、移動平均線の水準だけに頼るのではありません。むしろ、移動平均線を利用しているのです。
- 信頼できるプルバックを見つけて、ストップロスを検討
- タイミングを見てストップロスを調整する
ご覧のように、このアプローチでは、方法1もより多くのプライスアクション分析を行う必要があります。